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映画『さよなら渓谷』（大森立嗣, 2013）を観ました．

集団レイプ事件という腐った縁で繋がれた男女と，
主観的な真実を探り続けている記者を描いた映画．
小説『さよなら渓谷』（吉田修一, 2008）が原作．

心が通じ合っているように見える寡黙な二人の関係．
老年夫婦はいざ知らず，ませた男女ならこれは虚構．
自分の発言で関係に亀裂が生じることを恐れているだけで，
沈黙は心を許しあえない脆い関係の証拠ではないだろうか．

記者が仕事をするためには，ストーリーがどうしても必要．
胸の内の葛藤すら，物語を構成するためのスパイスにする．
実体験しても整理出来ないのに，追体験などもってのほか．
当事者に寄り添っているようで，平気で無粋な質問をする．

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映画『百円の恋』（武正晴, 2014.12.20）を観ました．

自堕落な女性が安っぽい恋を経てボクシングに出会い，
鋭い眼光で底辺生活に挑み闘い続ける姿を描いた映画．

情熱を抱いて何かに打ち込みたいなら，きっかけは何でもいい．
目標を見据えて打ち込んでいること自体が，快感になってくる．

大舞台の直前，五感が研ぎ澄まされ全ての感覚が増幅することがある．
世界がスローモーションに見え，鳥肌が立つ．緊張を感じながら挑む．

「立てよ，この負け犬！」

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映画『ヒミズ』（園子温, 2011.09.06）を観ました．

ごく普通な生活を夢見ている二人の孤独な少年少女が，
普通ではない大人達に囲まれてもがく様を描いた映画．

崩壊した家族内で繰り返し「要らない」と死を懇願される．
自分の存在が分からず，空間や人間を言葉と暴力で満たす．
絶望は，どれだけ叫んでも，どれだけ暴れても，消えない．

絶望すると，自殺のイメージが脳中に鮮明に浮かんでくる．
そんな時はひとまず目を瞑って上手くやり過ごすしかない．

時間が出会いときっかけを運んでくれる．逃さないように，
来たるべきその日まで，意識は絶やさず，ただ静かに待つ．

原作の漫画『ヒミズ』4巻についてはこちらです．